議案審査等

当初予算の委員会否決を一転、本会議において僅差で可決!?

庁舎再配置事業で議論紛糾!

 平成30年3月定例会は、2月26日から3月29日までの31日間の会期として開催され、平成30年度の当初予算が僅差で可決されました。

 昨年秋の台風被害の復旧を優先して取り組む事業はじめ、各地域集会施設整備費補助金、移住定住対策、医療・介護人材確保のための奨学金、通学路や歩道の安全確保のための改良工事、小学校の空調化事業など、市民生活にとって重要な事業が当初予算には盛り込まれていますが、庁舎再配置事業を争点として議会が紛糾しました。

 

※掲載記事中に、事実と異なる部分や批判めいた表現がありましたので訂正しています。

また、関係各位におかれましては、配慮が足らず多大なご迷惑をおかけしたことを、心よりお詫び申し上げます。

 

 予算委員会では、当初予算に対する修正案が提出され否決、原案も否決されました。執行機関では予算委員会での議決を受けて暫定予算を準備する騒動になりました。「当初予算の否決」それによる市民生活への影響は計り知れません。実際には、市長が暫定予算を組むことで、市民への影響は最小限にとどめられますが、当初予算の否決は市長不信任を意味することから、政策的な事業は抑制的になると思います。
 賛成、反対のいづれにしても、議員ならば、意見交換などで問題とする論拠を示して、本会議で議論を尽く必要があると思います。

 

 会期冒頭の審査では、修正箇所では大した論点が出ていなかったように感じていましたが、代表質問と一般質問を終え、一転して、庁舎再配置事業を論点として、一部の議員から修正案が提案されました。

[修正部分 原案の趣旨]

 前市長が進めてきた増築棟建設を中止し、今ある既存施設を活用することで歳出抑制を図り、財源を市民サービスに回す。新庁舎建設については、既存施設の耐用年数がある間に議論するとして、以下の改修に関する基本設計・実施設計などの予算が提案された。

①耐震に問題があり使用していない網野庁舎本館を廃止。

②旧五箇小学校を公文書の保管所として整備。

③福祉センターにある本庁機能を丹波小学校へ移転、福祉の拠点として整備。

④峰山庁舎、大宮庁舎の空調等の改修。

⑤福祉センターの耐震・雨漏り・空調等を改修し、網野庁舎にある本庁機能を集約。

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 会議の中では、庁舎再配置問題の本質的な論点整理が十分ではなかったので、以下に補足します。

 庁舎再配置問題の本質は、峰山の皆さんが「増築棟の建設中止」を事後承諾だと感じるのと同じように、網野の皆さんにとっては「網野庁舎の本庁機能移転」について十分な説明が無かったと感じています。そうした背景から、網野町区長会から「要望書」が議会へ提出がありました。

 しかし、議会が、審査中の予算に関連する「要望書」の内容について審査することはできません。これを先に審査してしまうと、議会としての権能が阻害され、議会制民主主義が破綻してしまいます。

 但し、議会として議論できない訳ではなく、要望書も踏まえ「庁舎の在り方」については、議長に提案すれば幾らでもできたと私は思っています。

 本庁機能の集約化については、いま本庁機能ある地域にすれば、企業が撤退するのと同じくらい経済的なインパクトがあります。前市長が進めてきた増築棟建設は、そのことが市民を交えて十分に議論されないまま、効率化の視点から進められてきました。一旦、新庁舎を建設すると最低でも65年は庁舎が固定されてしまいます。今回の庁舎再配置は、そうした十分とは言えなかった市民や議会での議論をするための時間を設けるためにも、今使える施設を使うという提案です。

 

 庁舎は、1か所に集約する方が業務効率の向上を図れるというのは事実かもしれませんが、そのことが市民サービスの向上や市域の均衡ある振興に繋がるかどうかは別の問題です。将来的な人口動態や住民負担なども十分に考慮して、ある程度、市民の合意も得ながら方針を決める必要があります。

 

 「当初予算の否決をダメだ」とは言いませんが、その事の重大さは十分に自覚して行動しなければなりません。とはいえ、予算を全面的に賛成できない事案もあります。その場合「ここだけは認められない」という部分を明記して、修正案を提案します。

 

[修正案の趣旨]

 将来のまちづくりの最も重要な根幹である庁舎整備については、将来ビジョンや財政負坦、市民の将来負担を明確に示し、市民や議会の意見を十分に聞きながら進めるべきである。今回の庁舎再配置の予算については、以下の視点が欠けており、一度立ち止まって考えるべきである。

①市長の将来ビジョンが示されていないこと

②市民の声、議会の議論が軽視されていること

③今回の予算と増築棟の予算が整理できていないこと

④将来のことも考え市民の負担はどうなるのか

⑤丹波小学校の利活用に疑問があること

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今回、修正案は否決されましたが、修正案に賛成する保守系議員が原案の採決でとるべき対応は通常2つです。

 1つは、修正部分よりも、それ以外の部分が重要である場合、常識的には原案について賛成となります。

 もう一つは、その部分がどうしても認められない場合、原案の採決に参加しない、いわゆる退席の行動を取ることもあります。

 今回、第3の選択として、原案についても反対の意思表示をされました。それは修正部分がそれ以外の部分よりも重要であることを意味します。

 また、議決の前には、議員個々の意見を述べ議論することのできる意見交換を経て、その後、反対または賛成の賛同を求める討論を行います。議員は、本会議の意見交換で十分に議論を尽くす必要があります。特に原案に反対する場合には、意見交換などで反対理由を述べ、課題を明らかにするなど説明責任を果たさなければなりません。

 議会が可決した当初予算であっても、特に留意して欲しい事項については付帯決議をつけ、明文化することで、市長に対して疑義の残る事業を監視することができます。

こうした経過も踏まえ、以下の付帯決議を提案させて頂きました。

 

[付帯決議の趣旨]

 自主財源に課題がある本市にとって、積極的な財源確保は必要不可欠である。一方で、集約化により地域から本庁機能がなくなることで、市民が将来の地域づくりに、不安を覚えることも理解できるところである。

 将来の本庁舎の在り方については市民生活への影響も大きく、魅力あるまちづくりの視点での議論が必要である。議会の意見を踏まえ、事業執行については慎重を期すようここに求める。

①基本設計が完了した段階で、議会へ報告すること

②福祉センター老朽化等、庁舎整備にかかる長期財政見通しを示すこと

③庁舎再配置事業について、市民への説明責任を果たすこと

④庁舎再配置による関係地域への影響については十分配慮すること

⑤将来のまちづくり拠点の在り方について、市と議会で協議の場を設けること

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 残念ながら、この付帯決議にも反対されました。

反対の趣旨は、市として当然すべきものであり付帯決議に値しないというものです。付帯決議に示した5項目は、修正案に賛同した議員をはじめ多くの議員が議論の中で述べたものです。

 3月定例会では、様々なことが起こりましたが、本会議や委員会など公の場で十分な議論ができるよう心機一転、議会改革に取り組む必要性を改めて感じています。

 4月からは、所属会派の丹政会代表の任を請け、議員の資質向上に努めるよう志を同じくする仲間と研鑽を重ね参ります。

引き続き、ご指導ご鞭撻を賜ります様、よろしくお願いいたします。

2018/03/30 議会報告WEB版   谷津 伸幸
≪ 地方創生・人口減少対策に向けて     市民が輝き地域が輝くまちへ、市長の政治姿勢を問う ≫

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