令和4年度当初予算を修正、附帯決議は全会一致で可決!!
令和4年度当初予算を含む54議案の審査を終え、3月定例会が閉会した。
コロナ対策関連予算(令和3年度補正)を含む13ヵ月で編成された令和4年度当初予算の総額は357億9915万円となった。
しかし、当初予算については、十分な検討や内部調整がなされていない事業も多く、最終的に議会として5つの事業(計12,697千円)を予備費に充当する修正予算を提案し賛成多数で可決。2つの事業についての附帯決議を全会一致で可決する異例の幕引きとなった。
市の都市機能構想を今後50年以上に渡り固定する可能性を含む庁舎建設については、予め令和4年度当初予算から切り分け補正第一号とすることで4月に継続審査することとなった。
今回の予算においては、「SDGs」や「若者」といったキーワードが掲げられ免罪符のように感じた。市民の「あったら良い」という声を全て叶えることは、必ずしも適切とは言えない。全ての事業において「公共性は高いか」「公益性はあるか」「緊急性はどうか」「持続可能性はどうか」などの視点で検証し、他の政策と照らし合わせ、市長の責任において「最善の策」として議会へ提案しなければならない。当然、事業の目的・趣旨が明確で、費用対効果が考慮されなければ、議会として予算を認めることはできない。
流行りの言葉に踊らされることなく、持続可能な地域社会とするために、何が必要なのか。行政として何をしなければならないのか。議会としても、今一度、考えなければならない。
修正事業の概要と議会の意見
○副業型ふるさと創生職員採用 5,793千円
【事業概要】
U・Iターンの受け皿として創設したふるさと創生職員に、都市部の企業等に籍を置いたまま京丹後市の仕事を副業で行う「副業型」を新設するもの。
【議会の意見】
副業型は本市への移住が期待できない。そもそもの目的である定住ができないのであれば、採用の条件を満たさないにも拘らず、採用条件を緩和するというのは本末転倒である。また、具体的な業務の想定がなされていない。
リモートで、どれだけの効果がえられるのか費用対効果に疑問を感じる。職員採用委託料の200万円は高額すぎて理解できない。
○SDGsポイント発行経費 1,500千円
京丹後デジタルポイントの導入により、SDGs活動を行った市民等に対して登録店舗等での買い物に使用できる自治体ポイントを発行する。
【議会の意見】
SDGsには極めて多種多様な活動があり、ポイント評価するに足る客観的基準がない。かえってSDGs活動に対する市民の間での、不公平感を大きくする恐れが多分にある。
ボランティアやSDGsなどの自発的な行動に対して、ポイント付与することは、逆のインセンティブに働くのではないかと危惧をする。
○長寿食サミットフォーラム(仮称)準備経費 2,344千円
【事業概要】
令和5年度に長寿食サミットフォーラム(仮称)を開催して、長寿食をアピールする。令和4年度は専門家の意見交換や先進イベントの視察などの準備経費。
サミットフォーラムを観光の出口として、令和5年度以降に商工観光部で進める。
【議会の意見】
令和4年度は、健康推進課で準備を進めるとしているが、開催の目的や具体的な内容、スケジュールも未定で、予算根拠として不透明な部分が多い。
更に、令和5年度のサミットフォーラム開催する商工観光部は、食やヘルスツーリズムの関係であるものの、長寿PRにはなるが観光の分野とは考えていない。
また、フォーラムに来丹される方の経済効果との見方であり、連携がとれているとは見えない。
この事業が、市民にとってのメリットを感じない。
議会として、こういった事業提案は決して認められない。
○京丹後産コシヒカリによるSDGs貢献事業 2,460千円
SNSを活用した食料支援として、SDGs大賞をとったプラットフォーム「おにぎりアクション」を活用し、京丹後産コシヒカリをPRする。
【議会の意見】
「おにぎりアクション」は協賛企業が多く、自治体としても3番目。メディア露出によるPR効果も薄い。
「おにぎりアクション」への投稿で 100万円の PR効果があるとの説明についての根拠が乏しい。
また、公金出資によるPRが目的となっており、食料支援を行う「おにぎりアクション」の目的からして主客転倒している。
○水洗化推進支援事業補助金のリースバック活用分 600千円
【事業概要】
地域経済の活性化と既存住宅の水洗化を図ることを目的に、下水道等の供用開始から3年内に水洗化する費用の一部を補助するもの。
リースバック制度は、令和3年度に新設。
【議会の意見】
リースバック制度は、宅地価格が極端に低く不動産事業者も否定的であり相談もない。
予算執行の見込みがない予算を計上することは、地方財政法の観点からも適当でない。
修正事業の概要と議会の意見
京丹後デジタルポイント導入事業
スマホのアプリのみの対応で、必須の条件となる。
当面、自治体ポイントやSDGsポイントなどで、ポイント付与を進めていく。ポイント運営協議会の事務局は、商工会を中心に調整し、2人程度の人件費を見込んでいる。
導入に当たり各商店街と意見調整した。発行ポイントは事業者負担とし、会費はスタート時から徴収する。
登録店舗は、初年度は300店舗を目標としている。最終的に500店舗に増えると、月々2,000円の会費で、人件費も含めて運営でき、市の支援は必要なくなる。
将来的にデジタル地域通貨の導入の可能性について検討する。
【議会の意見】
消費喚起ポイントの発行については、スマホで電子決済する人に限られる。
市外の方にも最大2000ポイント(2万円の買い物で2000円)が付与される。
積算根拠を25,000世帯としているが、市民の電子決済の実態は分かっていない。
世代間で電子決済の普及状況の違いが予測され、制度的な問題がある。
丹後王国タワー等跡地整備事業
オートキャンプ場をメインに検討していたが、オリンピックでスケートボードに注目が集まり、与謝野町の方を中心多くの署名を頂いた。
2月の連絡調整会議にスケートボートパークを提案したところ、RVパークやグランピングができたらありがたいという話があった。
府の担当課長に「スケートボードパークがしたい」と説明した。丹後王国ブルワリーには口頭で伝え、財団には連絡会議で伝えた。
異議があれば連絡がある。
【議会の意見】
平成27年のリニューアルでは、市長は積極的に取り組んでこなかったが、観光の中核施設として、どうあるべきか議論して頂きたい。
王国タワー撤去と跡地活用と合わせて、昆虫館やトイレの検討も不可欠だが全く協議・検討されていない。運営会社・管理会社との協議も十分とはいえない。改めてゼロベースで検討する必要性がある。
「修正すると、王国タワーの撤去や再活用を否決したこととなり、府の合併特例債の許可や協議が不調に終わる」との説明だが、それは議会としても望む結果ではない。有利な財源を活用するため附帯決議とすべき。